化粧品開発の流れと比較ポイント:企画〜販売までの全体像
はじめに
化粧品を自社ブランドとして開発する場合、企画から販売までに多くの工程があり、それぞれの段階で判断を求められます。OEMメーカーの選定、化粧品と医薬部外品の区分、容器の仕様、販売チャネルに合わせた訴求設計など、比較すべきポイントを見落とすと、コスト超過や発売の遅れにつながりかねません。
こうしたリスクを避けるには、開発全体の流れを把握したうえで、工程ごとに何を基準に比較・選定すればよいかを整理しておくことが欠かせません。本記事では、化粧品開発の基本フローを示しながら、各段階で押さえるべき比較ポイントを具体的に解説します。
化粧品開発の全体像と主要工程
・企画から販売までの基本フロー
化粧品開発は、大きく分けて7つの工程で進みます。商品企画・OEM先選定、試作、各種試験・調査、パッケージデザイン検討、届出などの法規関連対応、製造、そして発売という流れです(参照*1)。
企画段階では、ブランドのコンセプトやターゲットを固め、委託先となるOEMメーカーを選びます。その際、スタッフが直接ヒアリングを行い、商品への要望や方向性を共有したうえで製品企画をスタートし、最適な成分や剤型を検討しながらサンプルを試作します。目的の結果が得られるまで改良を重ねる点が、試作工程の特徴です(参照*2)。
試作の後には、安全性を確認するための各種試験、容器やパッケージのデザイン検討、薬事関連の届出・申請へと進みます。すべての準備が整った段階で製造に入り、最終的に市場へ発売する流れになります。工程ごとに関わる担当者や確認事項が異なるため、全体像をあらかじめ把握しておくと、各段階で必要な判断がしやすくなります。
・工程ごとの所要期間の目安
化粧品開発にかかる期間は、進め方や製品の種類によって異なります。全体の流れとしては、企画からの場合は1年以上、発注から納品の場合は約4か月程度が一般的な目安です。ただし、製品の複雑さや原料調達の状況などによって変動するため注意が必要です(参照*3)。
医薬部外品として開発する場合はさらに期間が延びます。処方が確定した後、有効成分の定量分析や申請書作成に約2か月、薬事申請から承認までに約6か月の審査期間が必要です(参照*4)。
化粧品か医薬部外品かという区分だけでも所要期間に差が出るため、発売時期から逆算して開発スケジュールを組む際は、届出・申請にかかる期間を織り込んだうえで計画を立てることが求められます。
OEMメーカー比較の判断基準
・開発実績と得意領域の確認
OEMメーカーを比較する際、まず確認したいのが開発実績と得意領域です。OEM受託企業にも得手不得手があり、どんな種類のOEMでも得意な会社はありません。化粧品OEMであればメイクアップ系が得意なメーカーもあれば、スキンケアに強いメーカーもあるなど、得意領域はそれぞれ異なります(参照*1)。
得意ではない領域のOEMを委託すると、必要な製造設備を持っていない場合に外注が発生し、コストが上乗せされたり、納期がより長くかかったりする場合があります(参照*1)。そのため、自社が開発したいカテゴリでの実績が豊富かどうかを最初に確認し、複数のメーカーの得意領域を比較したうえで候補を絞り込むことが判断の第一歩になります。
・小ロット対応とコストバランス
製造ロット数は、開発コストと在庫リスクに直結する比較ポイントです。大手の工場では3,000個以上からしか受け付けない場合がある一方、小規模向けの工場では100個単位から対応してくれるところもあります。ただし、ロット数が少なければ少ないほど、1個あたりの単価は高くなる傾向があるため、販売価格とのバランスを見極める必要があります(参照*4)。
初めてのブランド立ち上げや市場テストを目的とする場合は、小ロット対応のメーカーを選ぶことで在庫リスクを抑えられます。一方、すでに一定の販売見込みがあるなら、ロット数を増やして単価を下げる方がコスト面では有利です。自社の販売計画と資金状況を照らし合わせたうえで、適切なロット数を提示できるメーカーを選ぶことが大切です。
・薬事対応力と品質管理体制
化粧品開発では、薬事関連の届出や法規対応が不可欠です。OEMメーカーを比較する際には、こうした薬事対応をどこまでサポートしてくれるかを確認しておく必要があります。特に医薬部外品を開発する場合は、品目ごとに承認手続きが必要となり、申請区分や処方設計に応じて提出資料・確認事項が増えやすい傾向があります(参照*5)。薬事対応の知見を持つメーカーであれば、申請書類の作成や提出のサポートまで含めた一貫対応が期待できます。
品質管理体制も見逃せない判断軸です。ISO9001の品質マネジメントシステムを取得し、営業から商品開発、品質管理、製造まですべての業務をそのシステムに基づいて管理しているメーカーもあります(参照*6)。さらに、化粧品GMP(ISO22716)は品質に影響を及ぼす人的・技術面・管理面の要因に焦点を当てたガイドラインで、適用範囲は製造活動だけでなく管理・保管も含まれます(参照*7)。メーカーがこうした認証やガイドラインに基づいた運用をしているかどうかは、品質面の信頼性を測る指標になります。
・容器・パッケージ提案の有無
OEMメーカーによって、容器やパッケージの提案・調達まで対応できるかどうかは異なります。内容物と容器は密接に関係しており、ブランドコンセプトだけでなく処方に合わせた容器を検討する必要があります。内容物に含まれている成分と容器の材質が合わない場合、製品化後に容器が変形したり、内容物が漏れたりするトラブルが起きることもあります(参照*3)。
通常、容器は容器メーカーから購入する必要がありますが、処方だけでなく容器の開発や製造までワンストップで行っているOEMメーカーも存在します(参照*3)。容器の手配を自社で行うか、OEMメーカーに一括して任せるかによって、開発の手間やスケジュール管理の負担が変わります。ワンストップ対応のメーカーを選べば工数を減らしやすい一方、容器を自社で別途調達すれば選択肢の幅が広がるため、開発体制に合わせて判断するのがよいでしょう。
化粧品と医薬部外品の比較ポイント
・訴求内容と効能表現の違い
化粧品として開発するか医薬部外品として開発するかは、商品で訴求したい内容によって変わります。化粧品は、効能効果の標榜が通知で定められた範囲内に限られます。そのため、世界観・香り・使用感など体験価値を軸にしたブランディングと相性がよいケースがあります(参照*5)。
一方、医薬部外品は有効成分を配合し、一定の効能効果をうたうことができる区分です。商品の訴求において具体的な効能表現を前面に出したい場合は医薬部外品を、ブランドの世界観や使い心地を中心にした訴求を重視する場合は化粧品を、それぞれ選択の軸として検討できます。どちらの区分が自社のブランド戦略に合っているかを、訴求内容から逆算して判断することが出発点になります。
・開発期間・申請工数の差
化粧品と医薬部外品では、発売までに必要な申請手続きと期間に大きな違いがあります。広島県が公開した資料によると、化粧品は都道府県への製造販売届のみで手数料はかかりませんが、医薬部外品は承認申請書の提出が必要で、添付資料や手数料も求められます(参照*8)。
医薬部外品の場合、処方確定後に有効成分の定量分析と申請書作成で約2か月、薬事申請から承認までにさらに約6か月の審査期間が必要です(参照*4)。また、審査・手続きに要する期間は、承認権者が都道府県知事か厚生労働大臣かによっても異なり、品目や申請内容による変動もあります(参照*5)。発売時期を優先するのか、効能訴求を優先するのかによって、どちらの区分を選ぶかの判断が変わってきます。
・目的別の選び方
化粧品か医薬部外品かの選択は、訴求内容・開発期間・申請にかかる工数の3つの軸で整理すると判断しやすくなります。ブランドの世界観や使用感を中心に訴求したい場合は、届出のみで申請工数が少ない化粧品区分が候補に挙がります。一方、有効成分の効能を前面に打ち出した商品設計を目指す場合は、承認手続きを経る医薬部外品区分が候補となります。
短期間で市場に投入したいなら化粧品区分を選ぶことで、申請期間を短縮しやすくなります。逆に、半年以上の承認期間を織り込んだスケジュールが組める場合は、医薬部外品の選択も視野に入ります。開発チームの人員や外部委託先の薬事対応力も踏まえて、自社が対応できる工数の範囲内で区分を決めることが、無理のない開発計画につながります。
容器選定で比較すべき観点
・内容物との相性と安全性
容器選定で最も優先度が高いのは、内容物との相性です。化粧品の中身によって適した容器は異なり、たとえばクリーム状の化粧品には適度な柔らかさと密閉性を備えたチューブ型が適しています。液状の化粧品には容量調節がしやすいポンプボトルやキャップ付きの容器が向いています。中身との相性が悪い容器を選んでしまうと、商品の価値が損なわれます(参照*9)。
内容物に含まれる成分と容器材質が合わなければ、容器の変形や内容物の漏れが起こるリスクがあります(参照*3)。また、粘度が高い化粧品や酸化に弱い化粧品、防腐剤・添加物を含まない化粧品には、真空状態を保つエアレス容器が適しています。エアレス容器は酸化や菌の侵入を防ぎ、品質を守ることに役立ちます(参照*10)。容器のデザインや見た目を決める前に、内容物との適合性を確認しておくことが、品質トラブルの防止につながります。
・コスト・納期・ブランドイメージ
内容物との相性を確認したうえで、次に比較すべき観点がコスト・納期・ブランドイメージです。予算に応じて容器の作り込みは制限されるため、印刷できる範囲や方法なども含め、事前に担保したいクオリティについて目線合わせが必要です。成分や製造販売元、使用上の注意などの法定表示の情報を整理したうえで、ブランドコンセプトに合うデザインが技術的にも予算的にも実現可能かを検討します(参照*3)。
容器にコストをかけすぎれば製品全体の原価が上がり、販売価格への影響も大きくなります。反対に、コストを優先しすぎてブランドイメージに合わない容器を選ぶと、棚映えやユーザーの手に取ったときの印象が損なわれかねません。コストとブランドイメージのバランスをどこに置くかは、販売チャネルやターゲット層にもよるため、複数パターンの容器仕様を比較しながら最終決定に進めるのが実務的な進め方です。
・販売チャネル別の開発比較ポイント
化粧品開発では、販売チャネルをEC中心にするか店頭展開にするかで、開発段階から重視すべきポイントが変わります。ECを主軸とする場合、消費者が手に取る前に購入を判断するため、商品画像や訴求文の設計が重要度を増します。流行している成分やすでに市場で売れている訴求を活用して展開する方針であれば、スピードとコストを強みとするOEMメーカーを選ぶ判断も成り立ちます(参照*1)。
店頭展開の場合は、棚に並んだときの見え方が売上に影響します。容器の質感やパッケージの仕上がり、テスターで体感できる使用感が購入のきっかけになるため、容器・パッケージの作り込みに比重を置いた開発計画が求められます。化粧品区分で開発すれば、世界観や香り、使用感といった体験価値を軸にしたブランディングと相性がよいケースもあります(参照*5)。
価格や納期といった条件だけでなく、ブランドの価値観や目指す方向性を共有できるメーカーを選び、信頼関係を築くことがOEM事業を続けるうえでの土台になります(参照*11)。EC向けならスピードとコスト、店頭向けならパッケージと体験価値というように、チャネルごとに優先する判断基準を整理しておくと、開発の方向性がぶれにくくなります。
化粧品開発で失敗しやすい注意点
化粧品開発で最も多い失敗パターンは、単価を下げるために大量発注し、売れ残ってしまうことです。化粧品には使用期限があるため、売れ残った在庫は負債になります。まずは完売できる見込みのある数量から始め、市場の反応を見ながら徐々に追加製造を行っていくスタイルが、資金繰りの面でも安全です(参照*4)。
品質管理の運用面にも注意が必要です。広島県が公表した指摘事例では、手順書に規定された様式と実際に使用している様式が異なっていたケースや、定期確認の手順が定められていたにもかかわらず品質管理の確認が実施されていなかったケースが報告されています(参照*8)。手順書と実態の乖離は、製品の品質にも影響しかねないため、委託先の管理体制が実際に機能しているかを確認しておくことが欠かせません。
販売後の情報収集も見落とされやすい工程です。製造販売業者は、品質・有効性・安全性に関する安全管理情報を収集しなければなりません。消費者に使用されて初めて判明する情報もあるため、販売後に安全管理情報を収集し、評価を行い、必要な対策を講じる体制を開発段階から想定しておくことが求められます(参照*12)。
おわりに
化粧品開発を成功させるには、企画から販売までの全体像を把握し、工程ごとに何を基準に比較・判断するかを明確にしておくことが欠かせません。OEMメーカーの得意領域やロット対応、化粧品と医薬部外品の区分選び、容器の仕様、販売チャネルに応じた訴求設計など、各段階で異なる判断軸があります。
自社のブランド戦略や予算、スケジュールに合った選択肢を比較しながら、一つひとつの工程で根拠のある判断を積み重ねていくことが、化粧品開発における着実な進め方です。
お知らせ
化粧品開発、比較、ポイントは選定基準の明確化と現物確認です。OEMや原料・容器を実際に比較し、担当者と相談して最適解を導く準備をし、会場で情報収集すれば比較検討が効率化し、開発コストと納期の両面で優位に立てます。
化粧品開発を進める際には、OEMメーカー・原料・容器・パッケージなど、複数の選択肢を比較しながら進めることが重要です。
COSME Weekでは、OEM・原料・パッケージ・販路支援企業が出展しており、実際に担当者と直接相談・比較することが可能です。
化粧品開発を具体的に進めたい方は、ぜひ会場で情報収集・比較検討にお役立てください。
参照
- (*1) 株式会社 東洋新薬 – OEMメーカーの選び方講座~化粧品OEM・健康食品OEM先はどう選ぶ?|株式会社東洋新薬
- (*2) フェイスラボ株式会社 – OEM製品開発のながれ
- (*3) 株式会社トキワ TOKIWA Corporation – 化粧品OEMの基本的な流れ|高品質な製品を作るポイント
- (*4) ホシケミ ビューティNote for Business | 美容トレンド/化粧品OEMハウツー満載! – 化粧品を作りたい方へ!自社ブランドを立ち上げる手順と費用を解説
- (*5) ピカソ美化学研究所 | 当社は、自然派化粧品を製造しています。1935年の創業以来、「創意工夫」をポリシーとし、研究開発から量産、企画まで一貫した品質管理体制のもと、化粧品製造における技術と伝統を継承し、最先端で最高品質の化粧品を製造しています。 – 化粧品と医薬部外品の違いとは?化粧品OEM/ODM依頼前に知るべき許可申請や効果効能のルール
- (*6) 株式会社美粧ケミカル – 化粧品OEMの生産管理・品質管理|株式会社美粧ケミカル
- (*7) https://www.bureauveritas.jp/sites/g/files/zypfnx696/files/media/document/033_CER_iso22716_2026.pdf
- (*8) https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/644444.pdf
- (*9) 日硝実業株式会社 – 商品づくりに必要な全てをワンストップでご用意 – 化粧品OEMにおける容器の選び方|重要性や調達方法を踏まえて解説
- (*10) 石堂硝子株式会社 – 化粧品の製造工程とは? 容器選びの重要性も解説
- (*11) 化粧品OEMのメリットやデメリットは?メーカー選びのコツや事例を紹介|COSME Week
- (*12) https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/k_yakuji/i-kanshi/webyakuji/03d038e2a754d38c738030f0eb8fd163.pdf
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