化粧品OEMのメリットやデメリットは?メーカー選びのコツや事例を紹介

「化粧品OEMの特徴やメリットは?」「自社で化粧品を開発したいけれど、コストが膨らむのが心配」とお悩みの方も多いでしょう。化粧品OEMは、自社で工場を設ける必要がないほか、専門的な知識がなくても化粧品を製造できるメリットがあります。

本記事では、化粧品OEMを活用するメリットやデメリット、OEMメーカーの選び方、成功に導くためのポイントや事例まで解説します。

●目次

化粧品OEMとは?

化粧品OEMとは、「Original Equipment Manufacturing」の略で、自社ブランドの化粧品を専門のメーカーに製造委託する仕組みを指します。企画やコンセプト設計、処方の方向性などは自社で決定し、その仕様に基づいてOEMメーカーが製造を担当する形が一般的です。

これにより、自社の独自性や理念を反映させたオリジナル商品を効率的に製造でき、設備投資や製造ノウハウの蓄積がなくても高品質な商品開発が可能となります。特に小ロット対応や最新技術の導入など、柔軟な提案を行うOEMメーカーも増えています。


OEMとODMの違い

OEMとODMは、化粧品ブランドを製造委託する際の形態としてよく比較されます。一般的にOEMは自社で企画や処方の方向性を決め、その仕様に基づいて製造のみを委託するケースが多いです。一方ODM「Original Design Manufacturing」は、コンセプト開発から処方設計、製造、品質管理、さらには販売支援までメーカー側が一貫して請け負うという違いがあります。

OEMとODMのそれぞれの特徴や違いは、以下の比較表のとおりです。

 

 

OEM

ODM

委託できる業務

自社(委託側)の企画・設計に基づき、メーカー(受託側)が製造

メーカー(受託側)が製品の企画・開発・設計・製造まで一貫して行う

主体性

自社(委託側)

おもにメーカー(受託側)

※企画段階から共同で進める場合もある

開発期間

新規処方開発:1年程度

※開発内容により変動します

既存処方利用:5~6カ月程度

※期間はあくまでも目安です

新規処方開発:1年程度

※開発内容により変動します

既存処方利用:5~6カ月程度

※期間はあくまでも目安です

適しているケース

﹣     独自性の高い製品を開発したい

﹣     製品の細部までこだわりたい

﹣     ブランドの世界観を重視したい

﹣     化粧品開発のノウハウがない

﹣     迅速に市場参入したい

﹣     開発コストを抑えたい

﹣     テストマーケティングを行いたい

自社の主体性を持って開発を進めたい場合はOEM、小規模で効率的に製品化したい場合はODMが向いています。近年はOEMでも企画からサポートする柔軟なメーカーが増えており、選択肢が広がっています。


化粧品OEMの流れ

化粧品OEMでは、自社ブランドの理想を形にするために、企画もしくは製造から納品までの段階をOEMメーカーと連携して進めます。化粧品OEMの基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 化粧品OEMメーカーとの打ち合わせ:ブランド側のイメージやコンセプトをOEMメーカーに伝える。また、市場トレンドや競合分析を実施する。
    ※OEMメーカーによってはゼロからの企画提案も可能
  2. 試作・サンプル作成:メーカーが作成したサンプルを確認し、評価とフィードバックを行う。
  3. 仕様決定:サンプルの評価をもとに最終的な仕様を決定する。成分や表示内容が各種法規制に適合しているかも確認する。
  4. パッケージ決定:容器やラベルのデザインを決定する。
  5. 製造準備:メーカーが必要な原材料や包装材の手配が完了次第、生産スケジュールを立てて製造工程を準備する。
  6. 製造・充填・包装:工場で化粧品を製造する。製造された製品を容器に充填し、包装する。
  7. 品質検査:完成品の品質検査を実施して物理的、化学的、生物学的な検査を実施する。最終検査をクリアした製品のみ出荷準備を行う。
  8. 納品:製品を梱包し出荷準備が整ったら納品する。

化粧品OEMにかかる費用

化粧品OEMにかかる費用は、使用する原料の種類や配合成分、容器の仕様、製造工程の複雑さによって大きく変動します。特に高機能な美容成分を配合したり、特殊な容器を用いたりする場合、製造コストは高くなる傾向があります。

基本的な化粧品OEMにかかる費用の内訳は以下のとおりです。

化粧品OEMにかかる費用内訳

概要

バルク:

スキンケア系は50〜200円/個程度

※高機能処方になると価格が上がる

化粧品の中身を意味している。配合成分や製造する化粧品の種類などによって費用が異なる。

サンプル:

基本的には0円

※原材料費だけの請求がほとんど

バルクを確定させるために、試験的に製品を作る際にかかる費用。回数によって追加料金がかかるメーカーもある。

容器・化粧箱:

樹脂製は80〜150円/個程度

硝子や特殊形状は200〜500円/個程度

化粧箱は20〜150円/個程度

容器や化粧品を入れる「箱」にかかる費用。例えばプラスチック容器であれば、比較的低価格になり、ガラス容器の場合には費用がかさむこともある。また、最低ロット数や金型代の有無、着色や塗装等の仕様によってもコストに影響がある。

パッケージデザイン:

デザインの持ち込みは0円

多くの業者では、デザインの持ち込みを推奨している場合が多い。

充填・梱包・発送:

充填費は20〜80円/個程度

梱包資材費・作業費を含めると30〜100円/個程度

※送料は実費かつ送り先により変動

充填はバルクを容器に入れる作業。発送費用は、化粧品の輸送にかかるものだけではなく、商品を入れる段ボールの代金も請求されるケースがある。

化粧品OEMではさまざまな項目ごとに費用が発生し、その選択内容によって全体のコストが大きく左右されます。ロット数を増やすことで、単価の抑制が可能ですが、在庫リスクも踏まえた計画的な進行が重要です。

自社のブランド戦略や販売計画に合った最適な仕様を検討しましょう。

化粧品OEMのメリット

化粧品OEMを活用すると、初期投資や人材確保の負担を軽減しながら、スピーディーな商品開発が実現できます。また、製造許可や設備投資が不要なため、新規参入や小規模事業者でも低リスクで自社ブランドを立ち上げられるメリットがあります。


開発にかかる初期投資や運営費を抑えられる

OEMを活用すれば、初期費用や運営コストを大幅に削減できるほか、中小企業や新規参入企業でもリスクを抑えて自社ブランドの立ち上げが可能です。自社製造の場合、クリーンルームや研究開発設備といった数千万〜数億・数百億円単位の高額な設備投資が必要になるだけでなく、専門の研究スタッフや製造スタッフを雇用するための人件費や教育コストも大きな負担となります。

OEMを選ぶことで、これらの負担を軽減し、製品開発や新規ブランドの立ち上げといったコア業務に集中できます。


化粧品製造の許可申請や人材をアサインする手間が省ける

OEMメーカーに委託すれば、許可申請や責任者の確保、人材育成といった手間が省け、自社の商品企画やマーケティングなどの重要な業務に集中できます。化粧品の製造には「化粧品製造業許可」や「製造販売業許可」の取得が必要であり、さらにそれぞれに責任技術者や総括製造販売責任者といった有資格者の配置が義務づけられています。

これらの許可を取得し、必要な人材を採用・育成・維持するには時間もコストもかかります。OEMメーカーであれば、既に許可申請を取得し資格を持った人材を備えているため、委託することで自社での準備負担を削減できます。


開発期間を短縮してスピーディーに製品を市場へ投入できる

OEMメーカーを活用すれば、確立されたワークフローと豊富なノウハウにより、製品開発期間を短縮でき、市場の変化やトレンドに即応した商品をタイムリーに投入できます。OEMメーカーは、試作から量産までの工程を効率化し、煩雑な開発フローの管理負担を軽減します。

これにより、自社のリソースはブランディングや販促施策に集中でき、競争が激しい市場でのシェア拡大や新規顧客獲得のチャンスを逃さずに済みます。また、スピーディーな商品投入は、市場の信頼獲得やブランド価値向上にも寄与します。


多種多様な化粧品を開発・販売できる

OEMメーカーの利用により、自社では実現が難しい多種多様な化粧品の開発・販売が可能となります。スキンケア、メイク、ヘアケア、ボディケア、医薬部外品など幅広い製品カテゴリーへの対応はもちろん、オーガニック認証原料を用いた製品や特定の効能・効果を訴求する特殊用途製品の開発も可能です。

さらに、ODM機能を備えたOEMメーカーなら、コンセプト立案から試作、販売戦略まで包括的にサポートを受けられるため、商品ラインアップの専門性や独自性を高められます。

化粧品OEMのデメリット

化粧品OEMを活用すると、自社で製造を行わないため、実際の製造現場を細かく管理することが難しくなります。また、製品づくりに関する技術やノウハウが自社に蓄積しにくいという面もあります。また、生産工程の把握や価格変動の影響を受けやすいため、パートナー選定や情報共有体制の構築、社内知識の強化が重要なポイントとなります。


製造状況を実際に確認できない

OEMメーカーに委託する場合、製造現場をリアルタイムで直接確認できないため、製造スケジュールや各工程の管理はOEMメーカーに依存するケースが多く、コントロールが難しいです。その結果、仕様決定やサンプル確認、原材料調達、生産計画の調整などのやり取りや確認作業が増え、管理工数が増大することも少なくありません。

特に新製品の発売時期が決まっている場合、メーカー側の生産キャパシティの都合や予期せぬトラブルで納期遅延が生じ、プロモーションや販売計画に影響を及ぼすリスクも高まります。化粧品OEMをスムーズに進めるためには、事前にOEMメーカーの進捗(しんちょく)報告体制やリードタイムを確認し、余裕を持ったスケジュールを立てる必要があります。


化粧品製造のノウハウが自社に蓄積しにくい

OEMでは、製造プロセスや技術的ノウハウがOEMメーカー側に留まりやすく、自社内に製造知識が蓄積しにくいです。また、自社で生産ラインを持たないため、将来的に自社工場を立ち上げたい場合やOEM先の切り替えを行う際に、製造技術や工程に関する判断力や交渉力が不足し、柔軟な対応が難しくなる恐れもあります。

そこで、自社でも化粧品の製造知識を蓄える対策として、外部のセミナーや展示会への参加、OEMメーカーとの打ち合わせで工程説明を受けるなどの自主的な行動が大切になります。

化粧品OEMメーカーの選び方

OEMメーカー選びは、商品の品質・技術・信頼性を左右する重要なステップです。OEMメーカーによって製造できる化粧品の種類や対応できる範囲が異なるため、自社がイメージする化粧品が製造できるのか慎重に評価する必要があります。


求める技術や専門性をメーカー側が保有しているか

化粧品OEMメーカーを選ぶ際は、メーカーが自社の求める技術や専門性を持っているかの確認が不可欠です。これまでに手掛けた製品事例やポートフォリオを確認し、自社の製品コンセプトや技術要件に近い開発実績があるかを調べましょう。
以下のポイントも、メーカーの技術力や専門性を見極めるための重要な判断材料となります。

●     メーカーの独自技術:ナノ化技術、可溶化技術、天然成分の抽出・安定化技術など
●     得意分野:敏感肌用、エイジングケア、オーガニック製品など
●     研究開発の体制:研究員の経験、設備、外部機関との共同研究など

さらに、マーケティング観点では、新しい提案や市場動向を反映できる力があるかの見極めも重要です。マーケティング部門や研究開発部門が、市場調査や消費者調査をどのように行っているか、その結果を製品開発にどう活用しているかを確認すると、トレンドを反映した製品開発に役立ちます。


品質管理体制は徹底されているか

OEMメーカー選びでは、製品の安全・品質を担保する品質管理体制の確認が重要です。特に確認しておきたいチェック項目については、以下を参考にしてください。

チェック項目

確認すべき点

管理記録の徹底

原材料の受け入れ、秤量、混合、充填、包装、最終出荷までの各工程で記録が正確かつ網羅的に作成・保管されているか。東京都のGQP自己点検チェックリストなどの基準を満たしているか。

トレーザビリティの確保

原材料ロットから製品ロット、製品ロットから原材料ロットへ双方向で追跡できる仕組みが整備されているか。問題発生時に迅速な原因特定・範囲特定が可能であるか。

品質保証体制の独立性

品質保証部門が製造部門から独立しているか。出荷判定の基準・プロセスが明確で、品質保証部門が最終的な判断権限を持っているか。

ISO認証・継続的改善の取り組み

ISO9001や同等の品質マネジメント認証を取得しているか。顧客満足や品質向上に向けた継続的改善の取り組みを実施しているか。

衛生・設備・文書管理の徹底

製造施設の衛生管理が徹底され、従業員の教育訓練が実施されているか。SOP、変更管理、逸脱管理、自己点検の仕組みが運用されているか。設備機器の保守点検・キャリブレーションの計画・実績があるか。

以上の項目から品質管理体制を評価し、安心して製造を任せられる信頼性の高いパートナーを見極めましょう。

出典:東京都健康安全研究センター「GQPチェックリスト【化粧品・医薬部外品(GMP適用外)】」


安全性に関する取り組みが徹底されているか

OEMメーカーの選定では、安全性試験の実施体制も必ず確認しましょう。中でも以下の試験を実施して、肌への影響を評価しているかどうかは重要な判断材料となります。

安定性試験

製品が製造時から消費者の手元に届き、使用されるまでの期間(通常、未開封で3年間程度)、特定の保存条件下で品質が劣化せずに安定して維持されるかを確認する試験。化粧品基準で定められた品質を満たす根拠として実施される。

加速試験

高温、高湿度といった厳しい条件下で一定期間保存し、品質変化を評価することで、長期的な安定性を短期間で予測する試験。

皮膚一次刺激性試験(パッチテスト)

化粧品原料や最終製品を、ヒトの皮膚(通常は背部や前腕内側部)に一定時間(例:24時間または48時間)閉塞(へいそく)塗布し、紅斑、浮腫、かゆみなどの皮膚刺激反応の有無や程度を評価する試験。

感作性試験(アレルギーテスト、RIPT - Repeated Insult Patch Test)

製品の反復使用によってアレルギー反応(皮膚感作)が誘発される可能性を評価する試験。

スティンギングテスト(感覚刺激評価試験)

紅斑や腫れといった目に見える炎症反応は伴わないものの、塗布時に感じるピリピリ感、チクチク感、かゆみ、ほてりといった一過性の不快な感覚刺激(スティンギング)の有無や程度を評価する試験。特に「敏感肌向け」「低刺激性」といった訴求を行う製品にとって重要な試験。

ノンコメドジェニックテスト(面皰形成性試験)

製品が毛穴を詰まらせ、ニキビの初期段階である面皰(コメド)を形成しにくいかどうかを評価する試験。「ニキビになりにくい処方」「ノンコメドジェニックテスト済み」といった訴求を行う際に実施される。

安全性試験の実施体制に加えて、国内外の法的規制やガイドラインの遵守状況も必ず確認しましょう。国内では薬機法に基づく成分規制、表示規制、広告規制への適合が不可欠です。

さらに、化粧品基準に定められた品質や安全性の基準、化粧品等の適正広告ガイドラインも遵守されているか確認しましょう。OEMメーカーに海外輸出を依頼する場合は、EU化粧品規則や中国の化粧品監督管理条例など、輸出先の化粧品規制に対応できる体制や経験の有無も重要な判断材料となります。

出典:厚生労働省「安定性試験ガイドラインの改定について」

出典:日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」


小ロット・大ロットなど希望するロット数で製造できるか

OEMメーカーによって対応可能なロット数には幅があり、自社の事業計画や予算に合う規模で製造可能か確認が必要です。小ロット(約数百個)では容器や処方の選択肢が限られ、超小ロット(約10個)では、原料や容器の選択肢が著しく少なくなるケースも珍しくありません。また、価格も割高になる場合があります。

一方で、大ロット(約数千〜数百万個)は単価が安くなるメリットがある半面、販売計画に見合っていない場合、在庫を抱えるリスクがあります。事前にOEMメーカーに最低ロット数や対応範囲を確認し、自社に合った生産規模のメーカーを選定しましょう。


サポート体制が整っているか

OEMメーカーのサポート体制は、長期的なパートナーシップを築く上で重要です。仕様変更やトラブル発生時の対応スピード、改善提案の質、納期調整力などを事前に確認しましょう。

また、試作段階から納品後のフォローまで一貫した支援が受けられるか、定期的な振り返りや改善提案を行う姿勢があるかも確認すると、より安心して委託できます。海外展開を視野に入れる場合は、輸出サポートや現地法規制への対応力があるメーカーを選ぶと、輸出手続きや現地基準の適合確認といった煩雑な作業の負担を軽減でき、スムーズな市場進出につながります。

化粧品OEMの成功例

OEMメーカーとの連携がいかに商品力や販売力の向上につながるのか、山田製薬株式会社と株式会社トキワ、2つの事例をもとに解説します。


山田製薬株式会社

山田製薬株式会社は、明治43年の開業以来、漢方製剤から医薬部外品、化粧品、衛生品分野へと事業を広げ、着実に進化を遂げてきたOEM・ODMメーカーです。総合毛髪企業として長年業界をリードする東証上場企業「アートネイチャー」からも信頼され、ヘアカラートリートメントのリニューアルに伴うOEM製造を毎年継続的に受注しています。

両企業は長期にわたって連携し、信頼性を築き、短いスパンで新しい価値を消費者に提供することに成功しました。消費者からのフィードバックを迅速に反映し、処方を柔軟に変更する姿勢が、常に高い満足度を維持する要因となり、ブランドおよび商品のロングヒットにつながっています。

また、あえてOEM・ODMメーカーに依頼し、企画や開発段階で意見や提案を取り入れ、商品の品質向上やスピーディーな市場投入を実現しています。

出典:山田製薬株式会社「LABOMOヘアカラートリートメントができるまで」 株式会社アートネイチャー様」


株式会社トキワ

株式会社トキワは、処方開発と容器設計を同時に進めることで、開発期間の短縮と製品の高品質化を両立させる化粧品OEMメーカーです。GMPに準拠した徹底した品質管理体制のもと、「人生も、世の中も、ナナイロに。」を掲げる株式会社メディアジーンのクリーンビューティーブランド『7NaNatural(ナナチュラル)』の化粧品製造を担いました。

天然由来成分100%にこだわり、鉱物油や石油系界面活性剤など7つの化学成分を一切使わない高機能製品を開発しました。特にカラースティックは、インフルエンサーとのコラボやSNSを活用した販促が功を奏し、半年で4,000本以上の販売実績を上げる成功例となっています。

出典:株式会社トキワ「化粧品OEMメーカートキワの成功事例|商品開発のポイント」

化粧品OEMで化粧品販売を成功させるポイント

化粧品OEMを活用した事業を成功させるには、単に製品を作るだけでなく、戦略的なマーケティング、持続可能な利益計画、そして信頼できるOEMメーカーとの連携が不可欠です。製造から販売までのフローにおいて無駄を無くし、製造コストやリソースを効率化しましょう。


自社ブランドのビジョンやポジショニングを確立する

OEMを活用する際、自社ブランドのビジョンやポジショニングを明確にすることは最優先事項です。どのような価値をどのターゲット層に届けたいのか、ブランドとして市場でどの立ち位置を目指すのかという軸が定まっていないと、製品開発やマーケティング戦略がブレやすく、ターゲット層への訴求力が弱まります。

例えば、「敏感肌向け低刺激コスメ」「環境配慮型オーガニック製品」などブランドの個性を定義することで、OEMメーカーとの協業もスムーズになり、製品仕様や訴求ポイントが一貫したものになります。結果的に、ブランドの信頼性向上やファンの獲得にもつながるでしょう。


総コストを正確に把握して持続可能な利益計画を立てる

化粧品OEMを活用すれば自社工場の建設や設備投資は不要ですが、製品原価、開発費、資材費、試験費用、物流費など、さまざまなコストが発生します。特にロット数によっては製品単価が大きく変動するため、総コストを正確に把握した上で、現実的かつ持続可能な利益計画の立案が必要です。

また、初期の見積もり段階でOEMメーカーと綿密に協議し、無駄を省く工夫も重要です。デジタル広告やSNS活用といった費用対効果の高いマーケティング手法を取り入れ、限られた予算で最大の効果を上げる仕組みを整えると、事業の安定性が高まるでしょう。


OEMメーカーとパートナーシップを構築する

化粧品OEM事業を長期的に成功させるには、OEMメーカーとの良好なパートナーシップの構築が欠かせません。単に価格や納期といった短期的条件だけでなく、ブランドの価値観や目指す方向性を共有できるメーカーを選び、長期的な信頼関係を築きましょう。

初期開発から発売後まで定期的に打ち合わせを行い、開発進捗や市場トレンド、顧客の声を共有し合うことで、より良い製品づくりが可能になります。また、OEM戦略は技術革新や市場変化に合わせて柔軟に見直す姿勢を持ちましょう。

例えば、複数のOEMメーカーを製品ラインや地域によって使い分けるといった戦略は、メーカー構成の最適化を目指す際に有効です。

まとめ

化粧品OEMの活用により、自社工場を持たずに高品質な化粧品を効率的に製造し、タイムリーに市場に投入できます。初期投資の削減や多様な製品開発ができる一方で、依頼先の選定やコスト管理、ブランド戦略の明確化など、慎重な準備と計画が成功の鍵となります。

OEMメーカーの選定では、実績、品質管理体制、サポート内容など多角的な視点からの検討が重要です。展示会や業界イベントを活用して最新トレンドや信頼できるOEM企業の情報を集め、納得のいくパートナーと共にブランドの成長を目指しましょう。


【記事監修者】

赤星 恵美子(あかぼし えみこ)

化粧品開発コンサルタント

化粧品業界歴20年。大手化粧品メーカーおよびオーガニックコスメブランドにて、商品企画・処方開発・品質管理・コンサルティング営業など幅広い業務に従事。現在は「ELATE COSME WORKS」代表として、企業向けの化粧品開発コンサルティングやマーケティング支援を行うほか、美容・化粧品分野の各種メディア記事の監修も多数手がけている。

COSME Weekとは?

化粧品や美容食品の原料/OEM/パッケージから、
スキンケア/ヘアケアなどの最終製品、エステ/美容医療などを網羅する総合展として、
1月(東京ビッグサイト)、9月(インテックス大阪)の年2回盛大に開催しております。

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